当社は、加藤酒造工場を前身に茨城県及び栃木県の酒造家の資本参加を得て、昭和25年9月に誕生しました。現在では、醸造用アルコール・清酒・焼酎・発酵調味料等を製造する酒類総合メーカーとして、着実に成長し、皆様に大きなご信頼をいただいております。
特に、当社が開発した「小川酵母」は日本醸造協会10号酵母として幅広く使用され、当社の技術力は全国の酒造家から高い評価を得ております。清酒「副将軍」は小川酵母の特性を生かした淡麗芳醇な酒に仕上がり、近年全国新酒鑑評会においても金賞を連続受賞する、当社がもっとも誇りとする代表的な製品であります。
高品質の製品を継続かつ安定的に供給して行くことは、私ども企業の大きな使命であります。今後とも昔ながらの伝統的な人の力と、新しい技術を調和させ、多様化する顧客層やお取引先のニーズに十分応えられる製品をお届けしてまいりたいと考えております。そして積極的に地域社会に貢献することにより、皆様になお一層信頼される企業をめざしてまいります。
- 明利の誇り「明利小川酵母」と「M310酵母」
- 清酒は、大雑把に言うと、米を原料として、麹菌と酵母という微生物の働きによって造られます。
蒸された米に水、麹、酵母を加えると、麹菌が米のデンプンを糖に変え、その糖を酵母が食べてアルコールと炭酸ガスを作ります(アルコール発酵)。
発酵が進んだら、さらに蒸米、水を加えて、清酒のもとであるモロミを造ります。モロミの発酵が充分進んだら、これを搾ります。搾ったものが清酒で、残ったものが酒粕ということになります。酵母によるアルコール発酵は、同時にさまざまな微量成分を造り出し、これがあの馥郁とした清酒の香気を生み出すのです。
美味しい酒を造るには、優れた醸造技術に加え、良い米、良い水、さらに優れた酵母が不可欠です。明利酒類が持っている明利小川酵母とM 310酵母は、爽やかな吟醸香を生み、また酸を作ることが少ないという、非常に優れた性質を持っています。ここでは、その二つの酵母についてお話しましょう。
- 明利小川酵母(日本醸造協会登録10号酵母)
- 当社の元副社長であった小川知可良博士が開発した酵母です。採集した良質の酵母菌のみを分離して、そのなかから選び抜いた優良種をさらに選抜して純粋培養したものです。
優れた香気(カプロン酸エチル)を造りだし、酸を造ることが少なく、低温でよく働くため、吟醸などの高級酒に向いている酵母として高く評価され、現在も全国で広く使われています。
小川知可良博士は、著名な日本画家として知られる小川芋銭の三男として1909年茨城県牛久に生まれ、旧制龍ヶ崎中学、旧制水戸高校、東京大学を経て、大蔵省国税局に入り、のちに仙台国税局鑑定官室長を務めました。
この間、東北地方各地の酒蔵に足を運んで、酒造技術の指導を熱心に行い、多くの優れた杜氏を育成しました。1979年5月に亡くなりましたが、今でも酒造りに携わる人々から慕われ続けています。
- M310酵母
- 当社は、1992年に明利小川酵母を変異させた株を純粋培養し、新たな酵母開発の研究に着手しました。
この結果、香気成分であるカプロン酸エチルを親株よりも多く生成する新酵母の開発に成功し、これによる試験醸造を開始しました。その結果は満足すべきもので、関係各方面から高い評価を得たのです。
M310酵母と名付けられたこの酵母は、1995年から全国の酒蔵へ向けて販売が開始され、大吟醸など高級酒向けの優れた酵母として、全国の酒蔵で広く使用されています。
- 梅酒と酒の資料館 別春館
- 水戸黄門様は冬の寒い夜には、皆でお酒をよく召し上がり「誠に温かなること春色のごとし、この寒さも消えてしまうので、盃のなかには別に春が置かれている」として、飲酒のことを別春会と申しておりました。この度、副将軍醸造元である当社の資料館をオープンするにあたり「別春館」と名付けました。伝統ある酒造りや、梅の都水戸にゆかりある梅酒の資料を展示しております。皆様のご来館を心よりお待ち致しております。